『中玉トマトの養液土耕栽培』の紹介

 当JAでは本年度、JA水稲育苗センターの育苗後のハウス利用促進を目的として、中玉トマトの「養液土耕栽培」を試験導入しております。初年度なので面積は4a(ハウス2棟分)に作付しました。「養液土耕栽培」とは制御システムにより作物の生育に必要な養分・水分を決められた時間と量を作物の生育ステージに合わせて供給することにより、作物ストレスを少なく栽培できる技術です。



 こちらが養液土耕栽培で用いる装置です。
手前のタンクに液肥を調合します。奥の装置で水道水を引き込み、タンクの液肥と混合することにより作物の生育に適した養液を均一に流すことができます。
 また、写真にはありませんが装置にはタイマーが付帯しておりこちらで1日の灌水時間と灌水量を設定します。




 定植する前のハウスの様子です。
地面に防草シートを貼ることにより雑草の発生を抑え作業性が向上します。
 写真のように家庭菜園で行うプランター栽培と似たイメージでボックスに用土を詰め並べます。ボックスに栽培することにより青枯病などの連作障害を防ぐことができます。
 この後は、配管を整備しコンテナに十分な灌水を行った後に苗を定植します。



 6月22日に定植したハウスの7月10日現在の生育の様子です。
手前の配管から灌水チューブを伝わって養液が各ボックスに均一に灌水されます。



 本栽培では、1つの苗から2本の茎を出す「2本立ち」という方法で栽培しています。「2本立ち」も様々な方式がありますが今回の方式では、苗の生育が3枚頃に主枝を摘芯し側枝を伸ばしています。通常の「1本立ち」に比べ苗代を半分にすることができますが、反面肥倍コントロールがやや難しくなります。
 写真のようにボックス内の土が常に湿るように栽培管理を行います。
トマトの生育は7月10日現在、葉も青々としており生育は順調です。



 トマトは最初の花が着いた後は規則的に葉3枚ごとに新しい花をつけます。
この時期は1週間ごとに開花するため、誘引作業に追われます。誘引作業とは、作物の生育に合わせてつるや茎などを一定方向に導くことで人の作業性をよくし、受光体勢や通気性がよくなり光合成が促され病害虫の発生が抑えられます。
誘引は様々な手法がありますが、ここではスズランテープに沿って行っています。



 7月20日現在のハウスの様子です。
梅雨明け後は気温が上昇し、太陽光も一層強まります。高温条件が続くとトマトの花芽が飛んでしまい、実がつかなくなります。
また、光線により葉焼けが生じ生育が弱まります。
 写真のように遮光シートをハウスの上から覆うことによりこれらの症状を改善します。




7月10日から10日経過し大きくなりました。
 最初に開花した花は、実がどんどん太っています。初収穫は8月上中旬となる予定です。


 次回は、「麦の初検査」の様子をお伝えします。
また、「中玉トマト養液土耕栽培」については収穫まで順次お伝えしていく予定です。